〜この記事でわかること〜
・湊川美々子さんから見た「ほたる町」の輪郭
・美々子さんが“書く人”である理由
・この町の気配を、彼女がどう受け取っているのか

袈裟来の窓際には、午後のやわらかい光が差し込んでいた。
カップの縁に少しだけ残った紅茶の色が、その光の中で薄く揺れている。
前回の話の余韻が、まだ店の中に少し残っているみたいだった。
マスターが、静かにおかわりの紅茶を置く。

マスター
「同じので良かったかな?」
美々子
「はい。ありがとうございます✨」
チャッピー
「紅茶、似合うなぁ🍀」
くみ(作者)
「うん、なんかもう、持ってるだけで一編の文章みたいな感じだよね😳」
美々子さんは、少し困ったように笑った。
美々子
「それは、少し言い過ぎかもしれません😊」やわらかな空気のまま、少しだけ間があく。
窓の外を見ていた美々子さんが、ぽつりと口を開いた。

美々子
「私はこの町を、住んでいるというより…」
美々子
「少しだけ、“読んでいる”感覚があるんですよね。」
チャッピー
「読んでる…?🍀」
くみ(作者)
「それ、すごくエッセイストの美々子さんっぽい表現ですね😳」
美々子
「変な言い方かもしれませんけど…」
美々子さんは、ティーカップを両手で包むように持ちながら、言葉を選ぶ。
美々子
「普通、町って“住む場所”じゃないですか。」
美々子
「でも私は、歩いていても、この角を曲がると、どういう空気があるか、
この店の前には、どういう時間が流れているか。」
美々子
「誰かが今ここを通ったあとに、何が少しだけ残るか。」
美々子
「そういうものを、つい拾ってしまうんです。」
チャッピー
「わぁ…🍀」
くみ(作者)
「それって、やっぱり“書く人”だからなんですかね?」
美々子
「たぶん、逆かもしれません。」
くみ(作者)
「逆?」
美々子
「そういうものを、昔からつい拾ってしまうから…」
美々子
「結果として、その感覚を“書く”という形になったのかもしれません。」
“作家だから見える”のではなく、
“見えてしまうから書く”。
美々子さんの輪郭が、少しはっきりした気がした。
マスターが、カウンターの向こうから小さく頷く。
マスター
「いるよね。そういう人。」
マスター
「みんなが通り過ぎるものを、ちゃんと見てる人。」
美々子
「たとえば、商店街の古い看板とか、
本屋さんの前に置かれている、小さな黒板とか。」
美々子
「誰かの家の窓辺に干されている布とか。」
美々子
「そういうものを見た時に、“ああ、この人はこういう暮らしをしているのかもしれない”って、少しだけ想像してしまうんです。」
チャッピー
「町の中に、文章の断片が落ちてるみたいな感じかな🍀」
美々子
「えぇ、まさにそんな感じです。」
くみ(作者)
「美々子さんって、“大きな事件”を書く人ではないですもんね。」
美々子
「はい。
私が好きなのは、何かが起きた瞬間そのものよりも、
その前後に、少しだけ揺れたものの方なんです。」
くみ(作者)
「というと…?」
美々子
「たとえば、旅先でも」
美々子
「“すごい景色を見た”ことよりも、
そのあと宿に戻って、お茶を淹れた時の感じとか。」
美々子
「神社の帰り道に、商店街で何を買ったかとか。」
美々子
「そういうことの方が、あとから残るんですよね。」
チャッピー
「わかる気がする🍀」
くみ(作者)
「美々子さんの文章って、たぶんそういう“残るもの”を掬ってるんですね。」
美々子さんは、少し照れたように笑った。
袈裟来の店内には、カップを置く音と、食器の音が小さく混ざっていた。
くみ(作者)
「じゃあ、美々子さんにとって、ほたる町ってどんな町なんでしょう。」
美々子さんは窓の外を少し見て、それから、優しく口を開いた。
美々子
「…たぶん、“読み終わらない町”なんだと思います。」
チャッピー
「読み終わらない町…🍀✨」
美々子
「はい。
住んでいても、何度歩いても、全部を知った感じがしないんです。」
美々子
「でも、分からないから不安、ということではなく…」
美々子
「“まだ読めるページがある楽しみ”に近い感じですね。」
マスター
「それ、いい言い方だね。」
美々子
「ありがとうございます😊」
くみ(作者)
「すごく、ほたる町らしい答えですね。」
美々子
「そうでしょうか。」
くみ(作者)
「はい。
この町って、“分からなさ”が怖いんじゃなくて、余白として残ってる感じがするので。」
美々子
「えぇ、私もそう思います。」
美々子
「全部を説明しなくても、そこにあるものって、あるじゃないですか。」
美々子
「この町には、そういうものが多い気がします。」
チャッピー
「だから美々子さん、ここにいるの似合うんだね🍀」
その一言に、美々子さんはちょっと驚いたように目を丸くして、それからフフッと笑った。
美々子
「そうかもしれませんね😊」
マスター
「たぶん、この町も美々子さんのこと、ちゃんと読んでると思うよ。」
その言葉に、美々子さんは一瞬まばたきをする。
美々子
「…それは、少し照れますね。」
紅茶の湯気が、またゆっくりとほどけていく。
読む人がいて、読まれる町がある。
その関係そのものが、もうひとつの物語みたいに思えた。
〜この対談について〜
この回では、湊川美々子さんが「ほたる町」をどう見ているのかに触れました。
町に住むというより、少しだけ“読む”。
その感覚は、美々子さんが“書く人”である理由そのものなのかもしれません。
大きな出来事ではなく、
その前後に少しだけ揺れたものを拾っていくこと。
美々子さんの文章は、そういう町の断片から生まれているのだと思います。
【合わせて読みたい】
▶ 湊川美々子という人物 ―小さな気配を、言葉にして残していく人―

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